Medivh

このあたりから「自分のひとくち、全然ひとくちじゃない」と気づきます…。


 

ジェイナさんのお話の序盤にやたらと出てきたこのオッサンですが、かなり複雑な生い立ちな上に滅茶苦茶強かったりします。

 
■ 生い立ち

母親は〈エーグウィン/Aegwynn〉(ジェイナの話で、ジェイナ少女の憧れの人ってお話をした方です)。
長年〈ティリスファルの守護者/Guardian of Tirisfal〉(バーニング・レジオンの悪魔と戦う為に特殊な能力を授かった唯一の勇者)としてレジオンと戦っていました。
オークのアゼロス進軍の800年(!)前に彼女がレジオンの首謀である悪魔〈サージェラス/Sargeras〉を倒したかに見えたのですが、実はこれはサージェラスの罠で彼は彼女に気づかれずに自分の霊を彼女の体に眠らせただけだったのです。

そして755年(!)の月日が過ぎ、エーグウィンは自分の力を子供に託したく思い始めました。
ティリスファルの守護者を任命する〈ティリスファル修道会/Order of Tirisfal〉(別名Council of Tirisfal)の反対も聞き入れず、当時はまだ存在したアゼロス王国の魔導師〈ニエアス・アラン/Nielas Aran〉をたらしこんだ後子供を産み、ニエラスに育児の全てを任せてしまいます。

この子供につけられた名前〈メディヴ〉とはハイエルフ語で「秘密を保持する者」と言う意味で、エーグウィンが妊娠中にサージェラスが胎児に憑依した事を誰も知らないがため、皮肉な名前となってしまいます。
エーグウィンはサージェラスの憑依もつゆしらず、自分の全ての力を成人するまで解放されないよう工夫をほどこしつつ授けてしまいます。

 
■ 力の覚醒、そして世界滅亡思想へ

少年時代のメディヴ君は《ヴァリアン・リン/Varian Wrynn》の父君〈レイン・リン/Llane Wrynn〉や、後に歴史上最も優れた戦士の一人として讃えられた〈アンデュイン・ロサール/Anduin Lothar〉(ヴァリアンは息子の名前をこの人から取った)と過ごしましたが、14歳の誕生日に昏睡状態に陥ってしまいます。

真夜中に昏睡から目を覚ました彼は目を覚ます直前に見た悪夢を思い出し、父親の部屋に駆け込むも、父親が彼に触れた瞬間母親が残した力が解放され、父親は死亡し自分も瀕死の重体になってしまいます。
それから20年の間、サージェラスに操られたメディヴは深い眠りについてしまいます。

34歳で再度目覚めたメディヴは周りには自分は大丈夫だと言いつつも、サージェラスの爪痕は消せず、知識を貪欲に求め始め、最終的には自分が真の力を手に入れるにはアゼロスの人類を殲滅しなければならないと考え始めます。
後にバーニング・レジオンの仮リーダーであり、サージェラスの右腕と呼ばれた〈キルジェイデン/Kil’jaeden〉に魅せられ、シャーマンの道を捨てワーロックになった《グルダン/Gul’dan》と手を組み、ドラノールとアゼロスを繋げる〈闇のポータル/Dark Portal〉を開いてしまいます。

WoWの推奨レベル68-70のインスタンスCaverns of Time: Opening the Dark Portal(別名Black Morass)では、プレイヤーが実際にメディヴが闇のポータルを開けるお手伝いをしちゃいます。一応つじつま合わせとしては「アライアンス・ホードの両陣営が居ないと〈ハイジャル山/Mount Hyjal〉の決戦はバーニング・レジオンの勝利になる」との事らしいです。なんとなくやっつけ感。
ってか、ずっとあちこち走り回るんで面倒臭いインスタンスと言う印象しかありません…
参考動画

 
■ 弟子と外交官と肉体的な死

おいおいメディヴ君、闇のポータル開くのは違うよ!と止めようとした母エーグウィンとバトルして、メディヴは勝ちます。
青龍の〈アルカナゴス/Arcanagos〉もそれは間違ってるよ!と正そうとしますが、返り討ちにあい、体の内側から焼かれ死んでしまいます。

そんな大魔導師にダラランの魔術師達は何故か若き〈カドガー/Khadgar〉を弟子として送り込みます。
結果、メディヴはカドガー・執事〈モローズ/Moroes〉・料理人〈クック/Cook〉と共に自宅の塔〈カラザン/Karazhan〉で暮らしていました。
その前後でオークと人間が敵対するようになり、ホード側が外交として送り込んだ〈ガローナ・ハルフォーセン/Garona Halforcen〉と密かに子供を一人設けたりしてます。

カドガーがメディヴの闇のポータル関与に気づいたのち、カドガー+ガローナはロサール+レインと会います。
ロサールはメディヴの堕落を確信し、人間軍を率い、カドガーとガローナを味方につけ、メディヴに立ち向かいます。
対するメディヴは魔法でカドガーを老化させるも、カドガーはロサールの剣をメディヴの心臓に突き刺す事に成功。
ロサールの介錯により、メディヴの肉体は死に、メディヴ本人の霊魂はアストラル層をさまよい、サージェラスの霊魂は地獄に幽閉される事になります。
そして、彼が住んでいたカラザンと近辺地域は彼のあまりに強大過ぎた力の反動で呪われ、死の地と化しました。

 
■ その後

エーグウィンはその後何年も力を貯め、メディヴの蘇生に成功します。
蘇生後のメディヴはカラザンに潜み、来たるべき三次大戦を含めたバーニング・レジオンとの戦いに備え、力を蓄えます。

〈二次大戦/Second War〉後、彼は預言者に扮し、若きスロールにオークと人間が戦う間双方に悪魔の手先が降り注ぐ夢を見せます。
同時にアライアンスの首脳たちに警告をしたりしますが、先述のジェイナ以外は聞く耳を持ちません。
のちにスロール+ケーアン対ジェイナの戦闘を止めます。

さらにその後、スロール・ジェイナ・マルフュリオンが共同戦線を組むべきだと夢で告げ、自分の正体を3人には明かします。
この告白により共同で戦わないと世界がピンチになると確信し、ハイジャル山でアーキモンドを倒すに至るのです。

これにより罪滅ぼしができたと思ったのか、メディヴは姿を消し、今でも生死不明です。

 
■ メディヴ失踪後のカラザン(聖地巡礼もどき)

残されたカラザンはWoWのLV70レイドインスタンスになり、家主よろしくメディヴゆかりの戦闘が複数あります。

カドガーが弟子として住みだした時期に執事だったモローズはアンデッドとして健在で、冒険者を最初の強制ボスとしてお出迎えします。
こいつがドロップするエンチャントスキルが当時最強のエンチャントで、エンチャントを合成に選んでた人は結構血眼になったそうです。(ドロップ率が昔はすんごい低かったらしい。)
当時の解説付き参考動画

止めようとして死んだアルカナゴスのアンデッド版〈ナイトベイン/Nightbane〉は召喚する任意戦闘ボスです。
当時のプレイヤー間では最終ボスより強い!と、カラザン最強説があったと聞いています。
参考動画

なお、実装当時は召喚できる状態になるまでにクエストを色々こなさないとダメで、中盤のクエストでメディヴ対アルカナゴスのやりとりを視聴します。
こいつがいきなりドラゴンゾンビになってプレイヤーめがけ火ぃ吹くんだからすごいよね。
参考動画

後半のワープポイント解放用の任意戦闘ボスに父親ニエラス・アランの亡霊があります。
LV70(相応レベル)の時代、ギルドに1度だけ連れてってもらったんですが、
部屋狭いわ水エレ呼ぶわ火ぃ吹くわ引き寄せるわ吹雪降らせるわめっちゃめんどちー!と思った覚えが。
参考動画

プレイヤーにとって忌まわしきチェス戦ではメディヴ本人の亡霊と対局。
プレイヤーは自分の陣営の駒を駆使し、メディヴは敵陣営の駒を使いチートしまくります。
ちなみにアライアンス側の駒のキングは少年時代の友達であり、肉体の死の原因となった(?)レインです。
LV70のレイドが極端に楽なはずなLV90時代でも、ソロで突破するにはある意味運任せで盤上の炎チートが嫌な場所に落ちると何やっても詰んだりしました。
だって使う駒のステがLV補正受けなかったんだもん。
→参考動画(ホードアライアンス

 
■ フレーバーテキスト

英語フレーバーテキストの直訳は「ティリスファルの守護者は良き力である。悪魔の憑依は制御できる異常。」でした。
「制御できる異常」を「実用には問題ありません」に変換するローカリ陣の手腕、天晴ッス。

おまけに、導入発表の予告映像の英語オリジナル版で彼が言った言葉の直訳は「キリン・トアの奴らは魔法に精通するのは遊戯の規則を覚えるようなものだと君に言うだろう。馬鹿どもめ。真の力は境界線を超える勇気を持つ者が手にする運命なのだ。我はメディヴ、最後の守護者。魔法が遊戯なら、それは我が勝つために遊ぶ物であるぞ。」でした。

 
■ おまけ・メディヴは本当に闇のポータルに関与してたの?

メディヴが闇のポータル解放に一役買ったと言うのはWoWの第一拡張The Burning CrusadeでBlack Morassがインスタンスとして確立した時にほぼ確定したとの見方で、それ以前はグルダン単独であるとか、メディヴの関与はそれほどでなかった、と言う説が有力でした。

ただ、メディヴが闇のポータル解放にかなり深く関与している方が、後にハイジャル山のアーキモンド戦に向けて連合軍を作り上げる事による罪滅ぼしをしようとすると言うか、そこまでして両陣営を動かしたいと思えるほどの罪悪感の基盤が出来上がるような感じがして、設定としてはより納得できると思います。

やっつけ感は拭えないけど。